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君は君だけしかいないよ
代わりなんて
他にいないんだ
枯れないで 一輪の花
光がまともに差し込まない
君はまるで
日陰に咲いた花のよう
望んだ筈じゃなかった場所に
根をはらされて
動けずにいるんだね
閉じかけたキモチ
吐き出せばいい
────
ねぇ…どうして
君は笑わなくなったの?
前はいつも笑顔だったのに…
今では心からの笑顔は見えない
君に何があったの?
ある一人の女の子の事を
考えながら
俺は一人、帰路に着いていた
顔を上げると人影が見えた
「…ッ…心優!!!」
その人影は
今、まさに考えていた人物で
思わず俺は無駄に
大きな声で呼び止めてしまった
恥ずっ!!!
「大翔…」
しかし心優は
気にした素振りも見せず
ゆっくり振り返った
そんな様子に脱力しつつ
俺は心優の隣に駆け寄った
「今帰り?」
「うん」
俺達は家が隣同士で
昔から俺達はいつも一緒だった
だけど高校が別々になって
中学の時はお互い
何でも知ってたのに
今では殆ど知らない…
だから笑わなくなった理由も
わかるわけがないんだ
なぁ、何があったんだよ…?
「そか。じゃ、一緒に帰ろうぜ!!」
「うん」
そう答えてやっと少し微笑む
だけどそれは
あの頃の無邪気なものとは違う
「「……。」」
昔は会話が途切れる事なんて
なかったのに…
「心優…」
「…何?」
「何か、あった?」
もう聞かずにはいられなかった
心優が自分から話すまで
何も聞かないつもりだったのに…
こんな心優をこれ以上
見ていられなかった
「ッ…な…んで?」
「最近、笑わないから」
「何にもないよ…」
「俺じゃ、頼りない?」
こんな言い方
卑怯だってわかってる
だけどもうこう言うしかない
「ッそんなんじゃない…!!」
「なら話せよ」
「……、」
「心優」
視線をさまよわせ
困った顔をする心優に
少し強い視線を向ける
そして少し強い口調で言う
「…あのね、」
やっと観念したように
諦めたように薄く唇を開ける─…
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