卒業まで、あと少し

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  借りたままの辞書のページに あなたからの 時を越えた優しさを見た 「How are you feeling?大丈夫?」 くせのある懐かしい文字 今、それぞれにそれぞれの場所で 口唇を噛み締めて みんな走ってるだろう How are you,friend? あの日から会う機会もないけれど ──── 「えっと~…これはいらない、これも。」 私は今教科書類の整理をしていた 高校を卒業してもう大学生になる 気分転換も兼ねて 机の上を片付けた 「これいるかな?…ま、いーや。捨てちゃえ」 こうして見ると 中学の物もたくさんある あの頃は何かで 使うかもしれないと 捨てられずにいた 「……あ、」 ほとんど整理が終わって 引き出しの一番下の奥の方に 辞書を見つけた 「……これ…」 これは私の物ではない これは中学の時 ある人に借りていた物 「忘れてた…」 分厚いそれを 何となくパラパラめくる すると一枚のメモが挟まっていた 『大丈夫?』 少し下手な懐かしい字… 不器用な言葉で いつも弱虫な私を励ましてくれた 心配してくれていた 卒業式のあの日も ある決意のため 一人ソワソワしていた私を 何も知らない彼は 心配してくれていた そんな彼からの時を越えた言葉 あの頃の事が 鮮明に思い出された…─  
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