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「那海、大きくなったら勇太のお嫁さんになる!!」
「え?」
「勇太、お嫁さんにしてくれる!?」
「うん!!大きくなったら、結婚しよう!!」
小さい子のよくある
無邪気な約束だった
今ならバカだと
笑い飛ばせてしまうような
だけどあの頃は違った
本気で結婚するのだと信じていた
そして中学になっても
そうしたいと思っていたんだ
だけど彼は私にとって
大切な親友でもあった
だから関係を壊すのが怖くて
なかなか言えずにいた
でも高校が別になって
このままでは
どのちみち離れてしまう
そう思って卒業式の日
私は想いを告げた
「…ごめん、友達としか思えない。」
それが彼の答えだった
だから私は辛くても
これからも彼のよき友でいよう
そう思ったんだ
だけどやはり戻る、
なんてことはできるわけなくて
それからは隣同士にも関わらず
一度も彼と話すことはなかった
そしてそのまま彼はどこかへ
引っ越してしまった
引っ越す前
高校に入って何度か見かけた
彼の笑顔はあの頃とは
全く違っていて
まるで知らない人のようだった
それでも私の彼への想いは
消えることはなく…─
今もまだ私の胸の中には
あの頃の彼の笑顔がある
いつも心配して
気を使ってくれる君が好きだった
小さな事で悩む私を
励ましてくれる君が好きだった
どんな時も笑顔で
隣にいてくれる君が好きだった
例え君がもう
あの頃の君じゃなくても
例え君ともう
会うことはないとしても
例え君がもう
私を友と思っていなくても
私はまだ想いを捨てられずにいる
だけどあと少し…
あと少しできっと
君から卒業するから
だからせめてもう少しだけ
友と呼ばせて…─
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