夏音

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  アイツとの出会いは高校二年の時 初めて同じクラスになって 初めて隣の席になった 「オレ樋山蒼ってんだ、よろしくな!!」 「あたし清水夏歩、よろしくね。」 早速そう声を掛けた俺に 夏歩は人見知りらしく 少しだけ照れたように笑った その笑顔が可愛くて… オレはすぐに夏歩に惚れた それからオレは何かと 夏歩に話し掛けて 夏歩も段々 話し掛けてくれるようになった そしてオレらはいつしか 恋人同士になった 毎日笑い合って よく喧嘩もして 凹んだ時には慰め合った そんな毎日がオレにとっては かけがえのないもので 夏歩の仕草の一つ一つが オレの宝物だった 夏歩が隣で笑っていてくれれば 他には何もいらなかった 夏歩がいれば幸せだった… なのに…─ 「…蒼、あたし病気なんだって…」 頭が真っ白になった 理解ができなかった 「え…?」 「もう、治んないんだって…」 俯いてとても辛そうに 涙を堪える夏歩に オレは何の言葉も 掛けてやれなかった 夏歩が辛い時はいつもオレが 励ましていたはずなのに… 夏歩の啜り泣く声を聞きながら 何も出来ずただ呆然と 立ち尽くしていた…─  
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