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今日は夏歩の誕生日
外出許可が出て
オレたちはよく行ってた公園で
ブランコに座りながら
のんびり話してた
「久々だな」
「ん、何か懐かしい…」
「だな!!」
「蒼も来てなかったの?」
「ん、夏歩と来たいから!!」
「何それ…」
ふふ、と嬉しそうに笑う夏歩に
オレも自然と笑みが浮かんだ
目の前では小さな子供達が
サッカーをしている
そんな様子を見ながら
夏歩がゆっくり口を開いた
「また、来れるかな…」
「来れるよ、きっと」
もう来れない
どこかそう思わせる
口ぶりで言う夏歩に
オレはハッキリそう告げた
「来れるといいな。」
だけど夏歩はやっぱり
寂しげにそう呟いた
「「……。」」
何となくしんみりした
空気になって
お互い黙ってしまった
そのまま時間は過ぎて
青かった空は赤くなった
「蒼…」
「ん?」
聞き逃してしまうほど
小さな声だった
「あたしたち、いつまでこうしてられるんだろう?」
「……。」
返す言葉が見つからなかった
悲しそうな夏歩を
安心させてやれるような
言葉が見つからなかった
「あたしずっと蒼の隣にいたいよ」
今にも泣きそうな声で
急にそんなことを言い出す
「うん。」
「なのに…なのに何で…ッ」
そう言って膝に顔を埋め
泣き喚く夏歩の肩をそっと抱く
「大丈夫だから…」
"大丈夫だから"
ただそれしか言えなかった
しばらく泣き続けた夏歩は
少し顔を上げて唇を震わせた
上手く聞き取れなかったけど
きっとこう言った気がした…─
「ずっと…あたしを忘れないで」
そしてまた泣き出した…
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