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夕食は和やかに進んでいるのだが、ソヨギは明日が何の日なのか気になって仕方がない。
多分、湊に聞いてもはぐらかされてしまうだろう。
文明の発明、若者の必需品である携帯電話という存在に気がつかないところは、ソヨギの愛すべきところかもしれない。
きっと、2月14日と検索すればヒントもしくは答えが分かるだろうに。
(結城なら、知ってんのかな…?)
湊がいないときにでも、結城に聞こうと意気込んで、ソヨギは食事を続けた。
ふわふわと幸せな気分を満喫できるのは、心を許せる相手がそばにいるからだろう。
ソヨギは思った。
あの時、湊に監禁されていなかったらこんな状況考えもしなかった、と。自分は、ずっとひとりで生きていくのだと無意識に思っていた。
(オレが、アンタをこんなに好きなんて知ったら…アンタはどう思う?)
生まれてから、好意を向ければ返ってくるのは怯えと憎悪。そして、無関心。
いつしか、他人に心を許すことが怖くなった。
それを簡単に壊してしまったのは、恋人である湊と友人の結城。
彼等は、ソヨギにとって大切な人間だ。
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