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湊が食器を洗っているのを確認して、ソヨギは結城に尋ねた。
「―――…明日って、何の日…なんだよ」
「あしたぁ?明日は…バレンタインだろうが」
バレンタイン?
ソヨギの頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
「……まさか、知らねぇの?」
コクリ頷けば、唖然とした顔で結城は口を開いた。
「疎いにも程があんだろ、お前…ほんとに10代かよ?」
「………で、何の日なんだよ」
この際、暴言には目をつむる。
「バレンタインデーっていって、好きなヤツにチョコレートを渡す日。」
(好きなヤツ…)
ソヨギの頬に朱が灯るのを確認して、結城は続けた。
「明日だぞ?………湊、きっとお前からの待ってる」
渡してやれば、と言った結城は、がんばれと言わんばかりの顔をしている。
「……ああ、」
もっと早く知っていれば。
今日ほど、自分の疎さを恨んだことはない。
(大したもんはやれねぇかも知れねぇけど…)
自分なりに頑張って、湊を喜ばせてやろう
そう、決めた。
くしゃりと結城が頭を撫でてきたのが照れ臭くて、腕に噛み付いてやった。
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