階段で

5/5
前へ
/388ページ
次へ
動悸とともに、どっどっどっと汗が流れおちる。 本当に危ないところだった。 信二は動作を硬直させ、足をふんばり、全身の力をふりしぼった。 そろそろと、できるだけゆっくりと、清海の両足を踊り場へ降ろそうとした。 何が地雷だったのか。 今は、わからない。   そのとき、清海はばたばたと手足を動かしたのだ。 「ひゃぁんっ! 変なトコロ触らないでっ」   ぎょっとしたのは清海以上に、信二だった。 「暴れないで、危ないから――」   舌が途中で凍りついた。   かつん、かつん。   下から階段を上ってきた、生徒の足音が止まった。 「そこで・・・何、やってるの・・・?」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1431人が本棚に入れています
本棚に追加