断り

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「お邪魔したわね。 私たち、ここで失礼するわ。 行くわよ、朋絵(ともえ)」 叶の友人は、サドッ気たっぷりのにやにや笑いをした。 「だめじゃん、あやね。 いくら気まずいからって、用件忘れちゃ。 あたしら、そのために佐伯を探してたんだから、さ」 「~~~~~っ」   叶は噛み付きそうな目で友人をにらんだ。 それから、なんの感慨もなさそうな無感動なまなざしで信二を見て、手に持っていたものをつきつけた。 「はい」 「色紙・・・?」   戸惑う信二に向かって叶は徹底的な無表情で言った。 「英語の三条先生が今月いっぱいで辞められるでしょう?クラスみんなで寄せ書きしてたの。あなただけないわ」 「あ、ありがとう」   信二は色紙を受けとった。
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