断り

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「ちゃんと書いたら、学級委員の河藤くんまで渡してね」   信二はまごまごしながら、うなずいた。 「う、うん」 「あと!」   叶は指をつきつけて言った。 「ライブの件はきっぱりすっぱり忘れてちょうだい。 私の勘違い、世迷い言でした」   何か大切なものを掌から零れ落ちていく感触。 信二は、馬鹿みたいにははと笑った。 おかしくもなんともないのに。 「うん」   つまりは、そういうことになった。   信二は、どう叶を断るか、悩む必要がなくなった。
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