一章

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それを見る銀時は小さく荒い呼吸を繰り返しゴクリと唾を飲み込んだ。 (何動揺してんだよ俺……これはただのペンキだろうが) 眼に映る鮮明な白と赤の光景から逃れるように、銀時は目を逸らし息を一つついた。 「……おまっ、ちゃんと前見て走れよな新八!」 「そうネ!本当お前は駄眼鏡アルな」 「元はといえば神楽ちゃんが雪玉投げてくるからでしょ!」 「前見てなかったお前のせいアル」 「ちょっとーー!」 ギャーギャーと喧嘩を始める子供達。 銀時はそんな二人に気付かれないよう深呼吸をした。 ドクドクと心臓が早鐘のように鳴っているのを感じる。 冷静さを取り戻さなければ。 動揺する銀時は己にそう言い聞かせると、まだ喧嘩を続けている二人に向かって声を上げた。 「テメエ等いい加減にしろ!ちゃんと店の人に謝ってこい!」 銀時が一喝すれば大概二人の喧嘩は収まるものだった。 結局新八と神楽は二人仲良く店の人にペンキを零した事を謝罪した。 そして三人、特に銀時は何事もなかったように平静さを保ちながら万事屋への帰路についた。
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