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「……そいつ、攘夷浪士かなんかじゃね?」
「え?」
銀時の別段驚いた風でもない、冷静な言葉に新八と神楽はその人物を見た。
体に纏う衣は決して上等な物とは言えず、寧ろみすぼらしい身形だった。
そして擦り傷を負った白い手には、漆黒に煌びく鞘に収まった一振りの刀が雪の間から覗いていた。
「……あ」
刀を見て沈黙する新八と神楽。
「どうすんの?」と言いたげな目で二人を見やる銀時だが、二人が返す反応は銀時の予想の範囲だった。
「攘夷浪士でも関係ないアル!」
「そうですよ!倒れている人がいたら助けてあげるのが人ってもんでしょ!」
銀時を見上げる二人の力強い瞳に銀時は「やっぱりな」と苦笑した。
「じゃあ神楽、今すぐ救急車呼べ」
「分かったアル!救急車ァァァァァァ!!」
「誰がそんな原始的な呼び方しろって言ったよ。つか前にもこんなボケしたじゃねぇか」
神楽の頭に拳骨を喰らわせながら、銀時は倒れている人物の側に膝を立てた。
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