586人が本棚に入れています
本棚に追加
(俺、今……震えてる?)
戸惑うように上げた声もだが、体という体全てが震え上がっているのを銀時は感じていた。
震えを保ちながら徐に立ち上がり一歩後ずさる銀時。
その姿を見つめる長髪の人物――松陽も立ち上がると、後ずさった銀時に一歩近付きその頬に触れた。
「ああ、やっぱり銀時なんですね。……ずっと会いたかったんですよ、銀時」
――フワリ
長い絹糸のような髪が揺れた。
銀時が松陽の動きに反応する間もなく、松陽が銀時を包み込むような形で抱擁した。
「え!?」
その光景に新八と神楽は驚いたように手を口に当て声を上げた。
当の銀時も驚愕したように松陽の腕の中で身を竦めた。
何故ならこの温もり、抱きしめられるこの感触。
忘れるはずがない、この暖かな記憶。
だけど、だからこそおかしい。
(なんで……なんでアンタがここに……?だってアンタは、あの時……)
攘夷戦争に参加した頃のあの時。
雪の積もったあの時。
死ンダノダカラ……!
最初のコメントを投稿しよう!