一章

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(俺、今……震えてる?) 戸惑うように上げた声もだが、体という体全てが震え上がっているのを銀時は感じていた。 震えを保ちながら徐に立ち上がり一歩後ずさる銀時。 その姿を見つめる長髪の人物――松陽も立ち上がると、後ずさった銀時に一歩近付きその頬に触れた。 「ああ、やっぱり銀時なんですね。……ずっと会いたかったんですよ、銀時」 ――フワリ 長い絹糸のような髪が揺れた。 銀時が松陽の動きに反応する間もなく、松陽が銀時を包み込むような形で抱擁した。 「え!?」 その光景に新八と神楽は驚いたように手を口に当て声を上げた。 当の銀時も驚愕したように松陽の腕の中で身を竦めた。 何故ならこの温もり、抱きしめられるこの感触。 忘れるはずがない、この暖かな記憶。 だけど、だからこそおかしい。 (なんで……なんでアンタがここに……?だってアンタは、あの時……) 攘夷戦争に参加した頃のあの時。 雪の積もったあの時。 死ンダノダカラ……!
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