二章

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冬は天気の移り変わりが激しいのだろうか。 朝の天気予報で言われていた天気とは真逆に、厚い雪雲から深々と雪の結晶が舞い降りてきた。 せっかく雪掻きをしたばかりだというのに、此の分だと明日にはまた店の前には厚い雪が層を重ねる。 そのような明日の光景を脳裏に映し出しながら、お登勢は濃い紅を塗った唇から煙草を離すと、灰色の雲に向かって煙を吐き出した。 紫煙はゆらゆらとあちらこちらに揺れながら雲に届く事なく消失した。 それを見たお登勢は心の中で、雪もこのように呆気なく消え失せてしまえばいいのにと毒づく。 「お登勢様。また雪が降り始めましたか?」 店の外でぼんやりと思考を巡らせていたお登勢に声を掛ける者があった。 その声は澄んだ声とは反対に無機質な声音でもあったが、お登勢からしてはやはり澄んだ優しい声音という印象を受けていた。 「おや、たま。店の掃除は済んだのかい?ご苦労様だったね」 「いえ、からくり家政婦として当然の事をしたまでです」 店の出入口から出てきたのは色白の肌に翡翠の髪を編んだ少女――たまだった。
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