二章

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新八は先程初めて出会った松陽と銀時を居間の長椅子に座るよう勧めた。 そしてすぐさま台所へ赴きヤカンに水を注ぎ火にかけ、急須に茶葉を入れる。 お湯が沸騰するその間、新八はコッソリ覗くように居間に顔だけ出した。 入口から向かって左側の椅子に銀時と神楽が。 右側に松陽がニコニコと場を和ませるような笑顔を振りまいている。 だがその傍らには漆黒の鞘に収まった一振りの刀が、松陽の柔らかな雰囲気を裂くように立て掛けられていた。 (松陽さん……なんで行き倒れなんかに……それに銀さんもなんだか様子が変だな) 松陽に向けていた視線を銀時に変える。 銀時は口を固く結んだまま俯き沈黙を貫いていた。 銀時は松陽とどういう関係なのだろうという疑問が頭を擡げた。 松陽は銀時を知っているようだったし、抱擁もするぐらいなのだからそれそうの仲なのだろう。 銀時もまた小さく聞き取りにくかったが、確かに松陽の名をしっかりと呼んだのをこの耳が覚えている。 だがそれなら何故、銀時は松陽の抱擁から逃れるようにその腕から身を離したのだろうか。 羞恥に故に突き放したというわけではなさそうだ。 あの時の銀時の顔色は羞恥と言うよりも怯え、全身が震えているようだった。 そのせいか銀時は松陽と視線を合わす事がないため沈黙が居間に立ち込める。 ――ピーーッ 「……あ、ヤカンヤカン」 その時思考を断絶するようにヤカンがお湯が沸いた事を知らせた。
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