二章

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「……え……?」 銀色の前髪を揺らしながら、俯いていた顔を上げる銀時。 この人物の言葉の意味が上手く理解できずに混乱しているようだが、それは新八と神楽も同様だ。 「……でも、確かに松陽先生は殺され……」 「処刑されたのは私ではなく、私に姿を成り済ませた者です」 沈黙が四人を包み込んだ。 新八は今一その人物が言っている事が理解できなかった。 だが足りない情報をかき集めて結論を出すなら、この人物、松陽は本物で死んだのは別の人間だとでも言うのだろうか。 それは混乱している様子の銀時も考えたらしい、目が瞬いている。 「……そんなの、信じられな……」 「銀時、なら何故私が銀時、小太郎、晋助の三人があの廃屋に来ていた事を知ってると思いますか?」 「そ、それは……でも……だったらなんで今頃になってアンタがここに……それにその姿。あの頃と全然変わらねえじゃねえか!」 銀時の言葉に新八は松陽の姿を見やった。 体の傷と身形に目がいって考えなかったが、よく見れば松陽は銀時より少しばかり年上、三十代前半に見える。 松陽が幽閉された歳は知らないが、銀時の先生と言うならば生きていれば四十代か五十代ぐらいになる筈だ。
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