二章

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傷はその時負った物だという事を付け足して。 「でも行き倒れになった場所が銀時の住んでいる家だったのは本当に偶然でした」 するりと滑るように鍔から指を離した松陽に銀時が立ったまま、呟くように問いた。 「……じゃあ、アンタは生きてるんだな……?」 「はい」 「本当に、ここにいるんだな……?」 「はい」 「本当に?」 銀時の再三の問い掛けに松陽は結んでいた唇を上げ、破顔した。 「フフフ、銀時は昔からその癖が直っていませんね」 「……え?」 「疑う時は『本当に?』を繰り返す癖ですよ」 「ッ……!!」 絶望と疑念、そして怯えを含んだ表情が変わった。 銀時は眉を八の字にさせ瞳からは今にも涙が溢れ出しそうだった。 我慢するように拳を強く握り締め、フルフルと体全体を震わせた。 今にも足が床に縫いつけられたように動かない糸が切れてしまうほど銀時は震えていた。 「あ……」 松陽が何かに気付くように声を上げた。
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