ぼくと昔話

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  神社へと続く階段はやけに静まり返り、左右の林からは鳥の声1つ聞こえない。 それもそのはず、今は夜中なの3時前だ。 こんな時間に参拝客などいるはずもなく、鳥だって今頃は巣の中で夢の中だ。 「ポチ、神社に何があるんだ? さっき山頂が光ってるのが見えた気がするんだけど……」 「行けばわかる。 神社についたら説明する」 ポチと名乗る猫の化身は、うちの猫の姿でそう答え、ぼくの方をちらりとも見ようとせずに階段を登り続けている。 ぼくの胸騒ぎは神社に近付くにつれて強くなってくる。 見上げた爺様山の頂上のぼやけた光、あれは一体……? 参道を登りきり、目の前に神社の境内が開けた時、その光の正体がはっきりした。 炎だ。  
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