ぼくと昔話

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  「本当の話を教えよう。 今から700年程前、この土地には妖怪や悪霊が溢れておった。 この付近の村では、毎年若い娘を生け贄に捧げ、魔物達を鎮めておったのじゃ。 だがある年、生け贄に選ばれた娘には恋人がおった。 それがお主の祖先にあたる、佐吉(さきち)という男じゃ。 佐吉は、娘を救おうと力を尽くした。 そこでわしと出会い、力を合わせて魔物を封印したのじゃ。 桜の木を柱にしてこの地の封印術を完成させたのじゃが、当時のわしはまだ猫又としては半人前での、わしも一緒に封印されてしまった。 それがあの桜の木の下なんじゃ」  
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