ぼくと昔話

6/12
前へ
/68ページ
次へ
  「じゃが異物としてのわしが混入したままの封印は完全ではなかった。 そして今日、その封印が破られ、わしも目覚めた。 わしはすぐさま再び封印をかけなおそうとしたのじゃが、封印されていたのはわしの魂のみで、肉体はとうに滅びておる。 共に封印をかけた佐吉もおらぬ。 それで、わしは佐吉の子孫であるお主を探しておったわけじゃ。 おぬしの飼い猫がわしの依り代(よりしろ)に適合したのは幸いじゃった。 あとはおぬしも知っての通り、こうして神社へ駆けつけたが間に合わなかったということじゃの」 ポチは満足そうにうなづいて笑う。 「……って、笑ってる場合なの? 封印は解かれちゃったんでしょ? 悠長にしてる場合かよ!!」 ぼくは思わず相手が猫であることも忘れてツッコミを入れてしまった。  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加