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「……さっ、
さーっくーら
まーいちるはーなさーかのー
わーかーっさ
あーふれるまーなびーやでー」
とっさにぼくが口ずさんだのは学校の校歌。
何か歌わなきゃと思いつつ、頭に浮かんだのがそれしかなかった。
ヤケクソで歌いながらぼくは灰を投げつける。
手のひらの灰がなくなり、地面から掬い上げてはまたそれを投げつける。
気付くと目の前が灰で真っ白になってしまっていた。
息継ぎの拍子に思いっきり灰を吸い込んでむせてしまう。
ぼくは馬鹿丸出しか!
校歌で神通力が出るわけないし、こんな灰だらけにしたら歌えるわけないじゃないか!!
ゲホゲホと呼吸すらままならないぼくの耳に大きな羽音が聞こえてくる。
一面灰色の視界にあの大きな蜂のシルエットが浮かび上がった。
しまった! やられる!
咳き込みながら尻餅をつく。
「なかなかいい声じゃないか。
ありがとよ、ナオキ。
これで存分に暴れられる」
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