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蜃気楼のようにシルエットが揺れて乱れる。
次の瞬間、ぼくの目に痩身で顔色の悪い男、グラマラスでお色気満点のお姉さん、帽子をかぶった男の子の3人の姿が飛び込んできた。
「きゃー、すっごぉい!
本当に人獣化出来たぁ!」
お色気姉さんが胸を揺らしてはしゃぐ。
「ボクもニンゲンになれたー!」
帽子も嬉しそうに答える。
痩身だけは黙ったまま、じっとりとした視線をお姉さんに向けている。
「……えーと、もう1回自己紹介して貰ってもいいかな?」
何となくはわかっているものの、念のためぼくが尋ねると、痩身が蛙の下呂下朗、お色気がカマキリの桐雨、帽子がスズメの椿茶衣だとそれぞれに名乗る。
昨夜同様、全くもって信じがたいことではあるけれども、こうしてご神木の灰とぼくの歌は見事に3体の妖の人獣化を成功させたのだった。
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