ぼくと仲間と幼馴染

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  「昨日の今日でこれだけの神通力を使えるとはさすがは桜木の血筋じゃのう。 ともかく、これで4人じゃ。 まだ十分とは言えんがなんとかなるじゃろう」 ポチが満足げにうなづいて言う。 「ちょっと待ってよ! この3人を仲間にするっつのはわかったけど、そっから先が全然見えてこないんだけど」 相変わらずの説明不足っぷりにぼくはやきもきしながらポチの話をさえぎる。 「じゃ、それはあたしから説明させてもらうわ、ナオキ君」 桐雨さんが長い髪をかきあげて一歩踏み出す。 3人の妖の中では一番背が高く、手足の長い姿はまるでモデルのようだ。 「いーい? ご神木の封印が解けてしまったのはわかるわね? そのおかげて穂白様も復活出来たわけだけど、それに伴って他の封印されていた妖怪達も解き放たれちゃったわけ」 桐雨さんは片手を腰にあて、もう片方の手で人差し指を立てながらぼくに説明をする。 これで眼鏡をかけていたらまるでアニメやマンガのセクシー女教師みたいだ。 「そうなんだ! 昨日から黄面蜂や群青蝗(ぐんじょういなご)みたいな蟲傀儡(むしくぐつ)がたくさん街に現れて……」 興奮した様子で椿茶衣が言う。 茶色の羽毛がついた帽子にベスト、コーデュロイの短パン姿は小学生の子供のように見える。 「馬鹿スズメ、いきなり群青蝗とか蟲傀儡とか言っても兄さんが混乱するだけやんけ」 下呂下朗が椿茶衣の帽子を叩く。 その痩せた身体を包んでいるのは競輪か競泳の選手のような身体にフィットするボディスーツ。 そのせいで余計に肋骨が浮かび上がって見える。  
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