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「ちょっとアンタ達!
あたしが説明するって言ってんでしょ?
邪魔すると喰っちまうよ!」
桐雨さんが右腕を振り上げると肘から先が鋭い鎌に変化し、蛙とスズメを威嚇する。
あ、そうか。
カマキリの雌は交尾の後に雄を食べちゃうんだった。
ぼくは、ついさっきセクシーだなんて思ったことを後悔しながら苦笑いを浮かべる。
「妖怪って言うけど君たちだってそうなんじゃないの?」
「ひでぇや、兄さん。
あいつらと一緒にせんとってくださいよぉ」
下呂下朗が口を挟み、桐雨さんに睨まれる。
「穂白様は別として、あたし達は現世の妖怪なの。
これまで現代の人間社会と共存して生きてきたわ。
でもやつらは違う」
桐雨さんは語尾に力を込めて憎々しげに言う。
「そうなの?
昨日の鬼火はぼくも見た。
でも、それで何か変わったことでも起きてるのかい?」
ぼくの問いかけに桐雨さんは鎌を引っ込め、白く細い腕を組む。
「ナオキ君、まだやつらは仕掛けてきてないわ。
少なくとも君の目に見える範囲ではね」
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