ぼくと白猫

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  ぼくの名前は桜木ナオキ。 中学2年生。 とは言え、今はもう3月。 来月にはぼくも中3になり、いわゆる受験生というやつで勉強三昧の日々を送らなくてはならない。 というわけで、残りわずかな時間を少しでも楽しもうと、夜中にも関わらずテレビにかじりついて大好きな海外ドラマを見ていたのだった。 「……おい、ナオキ」 「なんだようっせーなあ、今キラーサンダー見てんだから後にしてくれよ」 ぼくの至福の一時を邪魔するしゃがれ声。 この枯れた声はコーイチに違いない。 あいつはかわいらしい外見と甘えん坊な性格に反して声はやたらとがらがら声だからな……。 と、そこまで頭を回転させたところで何かが引っ掛かる。 ……待てよ、コーイチ? コーイチッ!? 言い忘れていたがコーイチというのは我が家の飼い猫の名前だ。 ルパン三世の銭形幸一から取って、コーイチ。 由来はともかく、コーイチは猫だ。 喋るわけがない。 ぼくはもはやさっぱり耳に入ってこないテレビから、声がした方へと恐る恐る顔を動かした。  
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