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私は愛煙家である。
一日の仕事が終わってパソコン上の株のグラフを見ながら一本のタバコに火をつける。
その手には、まだ昼間の血が付いているのだが、
気にせず、深く肺の奥まで煙を吸い込む。
そして
「フー」
と吐き出すと、
一瞬にして部屋は真っ赤な煙で満たされる。
耳にはまだサーキットの喧騒が残っている。
私の吸っているタバコは、
イスパニア・ガトリングのレッド。
これは吸いなれない人が吸うと怪我をすると言われているタバコである。
一回吸うと口から煙が出なくなるまで、
一ヶ月はかかる。
しかし、
人が何と言おうと私はこのタバコを替えるつもりはない。
それどころか、
多い時には6~7本同時に口にくわえて吸うときもある。
私がタバコを吸い始めたのは、高校生くらいの頃だったろうか。
今さら言うまでのこともないが、
当時私は手のつけられないほどの不良で、
海外でも有名だった。
教師が制止するのもかまわず、
平気でタバコを吸うので、
周りからは
「タバコのJelly」
と呼ばれて恐れられていた。
若くて怖いもの知らずだったので、フィルターのほうに火をつけてしまっても、
そのまま平気で吸ってしまったり、
くわえタバコのまま眠ってしまったりしていた。
そんなふうだったから余計、周りは私の事を怖れたのだろう。
いまだにやめる気はない。
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