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「リンッ!!」
レオは手持ちの剣で鋼糸を斬ろうとしたが、腕と身体を鋼糸で縛られた状態では満足に力が入らない。
リンも必死に暴れるものの・・・・それも無駄な抵抗であった。
ゆっくり、ゆっくり、と口に近付く。
「放せえぇぇぇっ!!」
レオは引きずられていくリンを見て、喚くことしか出来ない自分を呪う。
そして、苦痛でしかない無力だった三年前の自分を思い出した。
(俺は何のためにギルドに入ったんだ!!)
―――――――――――――――
―――三年前
レオは父、母、妹の四人家族の裕福ではなかったが、さりとて貧乏でもない中流家庭に生まれた。
優しい家族に囲まれ友人も多く、毎日に不安も不満もなかった。
この幸福がこのままずっと続くと思った。
だが―――
それはある日・・・・脆くも崩れ去った。
あれは良く晴れた日だった。
中・高一貫の『王立魔法学園』に入学が決まり、幼なじみのリンと共に手続きのため王都に行っていたときにそれは起きてしまったのだ。
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