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500体以上の食鬼がレオの住む街を襲ったのだ。
レオの住んでいた街はそこそこ大きく、自警団も規模は小さくはなかった。
だが・・・・自警団はグールスの驚異的な数に対応できなかった。
そして、いくら魔法が使えると言っても実戦を知らない住民たちは戦いなれたグールスにいとも簡単に殺され、喰らい尽くされた。
その数、街の九割以上にあたる約18000人にも及んだ。
この事件は『モーリスの惨劇』と呼ばれ、18000の人間が一日にして殺さる事は近年稀に見ないことであった。
レオとリンは一報を聞き、手続きから帰ってきた。
そこには血でどす黒く染められ、グールスと住民の死体が散らばり、至る所が破壊され変わり果てた故郷に二人は茫然自失となった。
二人は言葉も無く別れ、それぞれの家に向かった。
僅かな望みに賭けて。
けれども・・・・特に被害が大きい山林に近い二人の家が無事だとは思えない、と頭の隅では分かっていた。
「・・・・・・・・」
レオは変わり果てた家の扉を開け、ヌチャっとした床を覚束ない足取りで進んだ。
途中で転がっていた父の頭、母の引き千切られた手足など見ていない。
それらは全て幻だ、と自分に言い聞かせる。
そうしなければ進めない。
妹の部屋がある二階まで。
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