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今までにない疲労感が襲う。
僅か7段しかない階段がまるで果てしなく続いているかのような気がした。
続いて欲しかった。
真実を見なくていいから。
希望を、夢を持てるから。
二階に上がったレオは妹の部屋を空けた。
そこに広がる現実は・・・・残酷であり、希望も夢も無かった。
「あああああぁぁぁぁっ!!!」
レオは狂ったように叫んだ。
彼が妹の誕生日に送ったブルーのブレスレットをした・・・・傷付いた細い右腕を抱いて。
家族を手厚く埋葬したレオは、王立魔法学園には入学せずにギルドへと入った。
その日の糧と、自分と同じような人間を少しでも少なくするために。
それは家族全員を殺されたリンも同じ思いであったようで、ギルドへと入ったのだ。
その後・・・・二人は死に物狂いで修行しギルドでコンビを組み、若手No.1と言われるまでに力をつけた。
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(何だこの体たらく!! 変わっていない!! あの時から何も!!!)
魔物による理不尽に怒ってきた。
魔物による不条理に抗ってきた。
何人もの罪無き者を助けてきた。
自分は『ヒーロー』に成りたかった。
如何なる不条理も、理不尽も覆す存在。
だけど・・・・ギルドで働き、世を見て理解した。
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