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「一緒に?」
「ああ、勿論万里ちゃんがイヤならそれでもいいんだ」
私は首をブンブンと横にふった。
イヤなわけない。
好きな人と観覧車に乗る…………。
そんな夢みたいなシチュエーションが叶うなんて。
「…………俺、年甲斐もなく万里ちゃんのこと、異性として惹かれてしまってる。君が好きなんだ。だけど既婚者だしカミさんも大事で好きな人なんだ。家族とは離れたくない、そんなことを考える凄く身勝手な男なんだよ」
本当に申し訳なさそうに眉を下げた姿。
胸がギュッと締め付けられた。
家庭を大事にしている真面目な彼だからこそ私は惹かれたのだから。
「分かってます、寛人さんはウチの失恋に付き合ってくれたらそれでいいですから……」
「万里ちゃん……」
私は精一杯の笑顔を見せた。
今から私は最初で最後のデートをするんだ。
「寛人さん、今日だけあなたの時間ください」
私は観覧車を目指し、車を走らせた。
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