98人が本棚に入れています
本棚に追加
「プレゼント……」
一言そういうと爽やかな笑みを浮かべていた。
「そんな悪いから……うちが買いますよ」
その言葉に一瞬せつなげな表情をうかべたら、今度はすこし怒ったような顔を作り私をしかりつけた。
「こういう時は黙ってかって貰うのが正解だよ」
そしてそのままレジに向かっていった……私はその後についてゆきながら、寛人さんの背中を見つめた。
大きく逞しさを感じるその背中。
すぐにでも、身を委ねたくなる衝動を押さえる。
底から沸いてくる愛しさと、意地悪な思い。
形容しがたい感情がとぐろをまいていた。
「はい」
小さな紙袋を手渡されて、胸がいっぱいになった。
「有難うございました……でもそんな形に残るもの渡されたらウチ、ちゃんと失恋できひんかもわかりませんよ?」
自分でもなにをいってるのか、わからなくなっていた。
寛人さんを困らせたくなんてないのに。
「……でようか」
真剣な表情で、私の手をとりそとに連れ出された。
最初のコメントを投稿しよう!