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掴まれた手が熱くじんじんとする、寛人さんの熱が伝わってくる。
寛人さんは無言のまま、私をどんどん引っ張っていく。
そして目的地の観覧車へ。
黄色いゴンドラが目の前に、係員の人に案内され、乗り込んだ。
はじめてみる、寛人さんの真顔。
怒られる?
我が儘いったから嫌われる?
どうしよう?
私は胸が苦しくなって、息苦しくて、頭がぼんやりしてくる。
「万里ちゃん」
「は……い?御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさーーーー」
すべてを言い切る前に、寛人さんの唇が私の言葉をさえぎった。
永遠のような長い時間。
「好きでいて?俺が持ちこたえるから」
「寛人さん?」
「万里ちゃんはなにも我慢しなくていい、無理に失恋なんてしなくていい」
「私は、どうしたらいい?」
「飽きるまで俺のこと一途に思ってればいい」
終わりにしようと思っていた恋だった。
でも、この思いを大事にしていいって言ってくれたんだ。
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