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観覧車の中。
俺は実らない恋をあの子にプレゼントすることにした。
辛い思いをさせるのはわかっていた。
でも、それでも。
構わない。
あの子の持っている闇は俺が思っている以上に深くて暗いものだった。
だったら俺はそれ以上の器で万里ちゃんを受け止めたいとおもった。
別れ際もう一度彼女の手を強く握りしめた。
「寛人さん、有難う。……大好き」
俺は微笑みだけをたずさえ、その手を放した。
「バイバイ……」
彼女の車からおり、俺は駅へと向かった。
まるでシンデレラの魔法が解けたような、帰り道。
これで良かったんだと
彼女のアドレスを携帯から削除した。
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