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彼女との思い出が色濃くにじむ朝。
いつもより少し早くリビングへとむかう。
そこには呆然と立ち尽くす絵里がいた、そして俺の存在に気付き、蒼白した表情でこちらを眺めていた。
「どうした?」
そう聞くと、目を見開きテーブルの上に白いなにかを叩きつけた。
これ何?、一言そういうと今にも泣きそうな顔になっていた。
テーブルの上にはレシート。
それはあのビーズアクセサリーのものだった。
どう説明すればいいのかわからず、俺は涙をこらえる絵里をただみつめていた。
「弁解もないの?」
その言葉が胸に突き刺さる。
俺はなにも言えず頭を下げた。
言い訳なら腐るほどできる。
ただこの胸の感情をそんなもので汚したくはなかった。
俺は確かに万里ちゃんに恋をしたのだから。
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