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沈黙のなか膝から崩れ落ちるように、絵里は床にへたりこんだ。
「結婚するときに浮気なら、一度許してあげようって決めてた」
「ごめん」
「でも、ただの浮気なんかじゃない」
顔をあげ、身体を起こす。
その目には涙であふれ、顔は真っ赤になっていた。
「リストラでもいい、浮気でもいいい、借金したって、ギャンブルしたって貴方についてくつもりだった」
ゆっくりと俺に近づく絵里。
何をされたって何を言われたって俺には文句は言えない。
それ相当のことをしてしまったから。
裏切り者だから。
静かに罪を受け入れようと、心にきめた。
そして絵里が俺の胸に顔をうずめる。
「ごめんなさい、別れてください」
俺の目にも涙が浮かぶ。
この気持ちは不倫なんかではない。
でも俺はやはり間違っていた。
愛する人を裏切り、傷付けてしまったのだから。
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