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お互いに何か話すわけでなく時間が過ぎた。
すると彼女がこう切り出した。
「なんか回りくどいのは苦手やから単刀直入にいきますね、なんであの時死のうって思たんですか?」
本当に単刀直入に聞かれかえって清々しく思えた、俺はうっすらと笑顔を浮かべ答えた。
「リストラだよ。20年以上勤めていた会社だったんだけどね、不景気だからね」
すると彼女は真顔で答えた。
「悔しかったんですよね、なんで自分が追い出されなアカンのって」
「いや……そんなことは」
否定しようとすると、彼女は手をそっと俺の膝においた。
「君?ちょっと……」
「貴方が辛かったのは、自分の存在を拒絶されたこと、自分の居場所をなくしたこと。なんでそんな自分の気持ちを隠してしまうんですか」
彼女の目は俺を咎めるように俺を射ぬいていた。
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