運命の再会

3/15
前へ
/128ページ
次へ
お互いに何か話すわけでなく時間が過ぎた。 すると彼女がこう切り出した。 「なんか回りくどいのは苦手やから単刀直入にいきますね、なんであの時死のうって思たんですか?」 本当に単刀直入に聞かれかえって清々しく思えた、俺はうっすらと笑顔を浮かべ答えた。 「リストラだよ。20年以上勤めていた会社だったんだけどね、不景気だからね」 すると彼女は真顔で答えた。 「悔しかったんですよね、なんで自分が追い出されなアカンのって」 「いや……そんなことは」 否定しようとすると、彼女は手をそっと俺の膝においた。 「君?ちょっと……」 「貴方が辛かったのは、自分の存在を拒絶されたこと、自分の居場所をなくしたこと。なんでそんな自分の気持ちを隠してしまうんですか」 彼女の目は俺を咎めるように俺を射ぬいていた。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加