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晴天の霹靂。
寝耳に水。
まさに今日の出来事を語るにこれ以上相応しい言葉はないだろう。
一般的なサラリーマン家庭で、平凡ながらも幸せな生活を送っていた。
しかしながらその死刑宣告はあまりにも突然に俺に襲いかかったのだ。
いつものように、事務所で書類整理をしているときだった。
ふと背後に気配を感じた、なにげなく振り向くと、社長が其所にたっていた、そして少し目を泳がせながら俺の肩にそっと手をおいた。
嫌な汗が額に滲む。
このシュチュエーシから出てくる言葉、想像しなくともすぐにわかった。
「うちの会社も経営も悪化していてな、神戸君にはすまないが来月いっぱいで……その…………。君はまだ若い。だから次の就職も直ぐに見つかるだろう?」
言葉を濁し苦渋の表情を浮かべる社長に俺は黙って頷くより他ならなかった。
肩たたき。
リストラというのはこんなにも身近に、まさか自分が……と能天に衝撃がはしる。
40も半ばを過ぎ若いから直ぐに次が見つかるといわれても、なんら説得力がない。
俺よりうんと若いやつらが就職が見つからないとボヤいているくらいなのだから。
しかし恨み辛みをいうことなどは出来なかった。
中小企業の小のほう、わが社が不況の荒波にのまれているのは、半年ほど前に手洗い場に出現した、節電・節水とかかれた大きな張り紙で想像がついていた。
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