晴天の霹靂

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社員は10人。 広告関連の印刷業を生業とする我が社。 俺のポジションは事務長兼営業部長。 小さい会社ながら、俺はこの会社を家族同様に大事だと思っていた。そして今、20年以上世話になったこの会社にできること。 それはただひとつ。 大人しく身をひく……。 ただそれだけだった。 俺は小さくため息をついて、再び書類整理に取りかかった。 この仕事が片付いたら今日は早めにあがらせてもらおう。 外回りから帰ってきた部下の馬鹿笑いが廊下から聞こえてる、あの笑い方は間違いなく幸村だ、元気と明るさと若さが取り柄の奴。 普段なら眉をひそめる所だが、今日は何故か耳に心地よい。 早く元気なあいつに、リストラなんて大丈夫っすよ!神戸さん……といつものように笑いとばして貰いたい。 そんなふうに思っていた。 ドアを勢い良く開けて、俺の顔を見るなりに犬が尻尾を振るようにとんできた。 「神戸さん!聞いて下さいよ、今日契約ばっちりっすよ、見てください」 目をキラキラさせて俺の前に書類をちらつかせていた。 「よくやった……」 俺のその言葉に、満足そうに目を細めて幸村は社長室へとむかった。 とはいっても小さな事務所の隅にある薄っぺらい壁で囲まれた三畳ほどの社長室だ。
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