晴天の霹靂

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俺は荷物をまとめ、事務所の入口にあるホワイトボードの自分の名前の欄に早退と書いた。 「悪い、体調不良だ。後は任せたぞ」 ざわつく声と突き刺さる視線を背に、逃げるようにして飛び出してきた。 真面目一徹な人生を送ってきたこの俺にとって初のエスケープというヤツだ。 行くあてもなく街を彷徨う。 都会の喧騒が俺を追い詰めるように、責め立てるように身体にまとわりつく。 四角い空を見上げると、切り取られた青空がとても高くて、何故か強烈な孤独感に苛まれた。 「どうしたもんか……」 此れからの人生、どうしたらいいのか? 自宅に帰って何て説明したらいいのか? あと10年以上残っている家のローンはどうなる?来年大学に進学が決まった息子の学費はどうする? いっそこのまま俺なんて消えてしまったほうがいい…………。 今死ねば退職金と生命保険で……。 危ない考えが脳裏を駆け巡る。
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