硝子細工の恋

晴天の霹靂

「ちょっとっ何してはるんですか！！」

女性の声とともに腕をグイと捕まれ、おおきく身体が引き戻される。

ハッと我に帰ると目の前にはダンプカーが爆音をあげながら通り過ぎていった。

「ひっ……」

死の恐怖が一気に身体を支配して腰が砕け地面にへたると暫く立てないでいた。

女性が俺の前にしゃがみ、真剣な眼差しで此方をみていた。

「なんで自殺なんてしよう思たんですか」

関西なまりの彼女は子供でも叱りつけるように俺に対し怒ってるようだった。
その姿に不謹慎ながら綺麗な人だなとみとれてしまった。

カラスの濡れ羽のような漆黒で艶やかな髪にやや切れ長な目、つんとすました鼻にアンバランスなぽってりとした唇が印象的で、とても美しかった。