ねぇ、螺旋の夜を過ごしましょう

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指名が入った。 優子が呼ばれた席には、高橋ひとり。 「……ご指名、ありがとうございます」 髪の毛をかき上げながら、感情を込めずに言う。 それでもつい胸が高鳴ってしまう、抗いがたい魅力が高橋にはあった。 ノーネクタイでジャケットを着た高橋。 服装だけでなく気までもを緩めた雰囲気に、優子はどう接すれば良いのか分からなくなってしまった。 「久し振りだ」 「まだひと月も経っていないと思いますけど」 「日本は狭い国だな。こんなに早く見付けられるとは」 「かくれんぼをしていた覚えはありませんけど」 変化する、部屋の温度が。 気付かれたくない、体温の上昇に。
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