プロローグ

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好きだった人が交通事故に遭った。 一瞬の事だった。 それを見た瞬間、自分の内にある『なにか』が失われたような感覚で…… でもそれがなんなのかまだまだ俺は理解できない。 病院の手術室の前にあるベンチにうなだれるように俺は座っていた。 『手術中』と赤いランプが光っている。 それは楽しいデートの帰りの夜のことだった。 横断歩道の信号が青く光って、でも、いきなり車が飛び出してきた。 もちろん車側の信号は赤だったが、その車は交差点の手前の通りからスピードを出して横断歩道にいきなり入ってきたのだ。 彼女は信号が青く光ったと同時に楽しそうに早く早くと俺を誘いながら小走りで横断歩道を渡った。 その時だった。 車と彼女は出くわした。
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