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『もう今までのままじゃ、追い付かないの。ゆりちゃんにだけは話しておこうと思って。』
「うん。」
美恵の父は小さな飲食店を営んでいて、経営はもう、何年も前から思わしくない状態だった。
それを支えようと、夜は『友達と飲みに行く』と嘘をついては、スナックにバイトに行く母。
それをずっと近くで見ていた美恵もまた、水商売で稼いだお金を断る母に無理矢理渡していた。
美恵の声は明るかった。決して辛くないはずがない。大好きな彼氏もいたし大学に行きたくても行けなかった為、仕事と平行して資格取得に通信教育で勉強もしていた。
でも、それも節約の為辞めたと言っていた。
美恵は昔から優しい気使いができる親友だった。私の現状も知っていて、きっと、か細い声は出せずにいたのだろう。
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