現実

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『この娘早く変えて』 『つまらない』 『目を見て話せよ』 全て客から言われた言葉。 この店のキャストになって数年。精神は遂に身体をも飲み込み始めた。動悸、目眩、吐き気、恐怖、震え、涙が止まらなかった。人が怖い。私はおかしな女、つまらない女。可愛くない女。何の価値もない使えない女。 完璧に【私らしさ】を失ったこの頃、私は24歳になっていた。 限界を感じ退店の意志を告げた。誰も止めることなく、あっさり承諾してくれた。誰と仲良くしていた訳ではなかったが、何故か悲しかった。
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