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とん……っ。
と、まるで誰かに背中を後押しされたかのように通話ボタンを押した。
え……?
あれ、と、押した本人が驚く。
確かに押したのは自分なのに、押したという実感がない。
何だか、自分に掛かってきた電話を友達に出られたような気分。
ディスプレイに表示された通話時間が三秒、四秒とカウントされてるのを見て、あわてて出る。
「あっ、もしもし……?」
『…………』
「……、もしもし?」
『………………』
しばらく待ってみるが、反応がない。
やはりただのイタズラだったのだろうか。
そう思い、早々に通話を切ろうとした矢先。
『ワタシ、〝マコト〟。アナタの名前はなーに?』
突然、電話の先から少し舌足らずな幼い少女の声が聞こえて来た。
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