一日目 -始まりの電話-

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真琴の首が、玄関の方向へと向けられる。 「真希、帰ったの……?」 返事はない。 耳を澄ますが、風が窓を叩く音とテレビの音量に遮られてわからない。 気のせいだろうか、と思ってみるが、どうしても先程のニュースの事件が脳裏を過ぎる。 事件は県内で発生している上、最初の犯行現場から徐々に離れていくように行われている。そして、さっきのニュース。犯行があったのはこの市の隣だった。 リモコンを手に取り、すぐにテレビの電源を消す。途端にリビングが静まり返る。 外では風が吹き荒れ、いまだに風が窓を叩いている。 もしかしたら半端に閉まっていた玄関のドアが、風に押されて閉まった音だったのでは? 恐怖を誤魔化すようにそんなことを考えてみるが、記憶にはきちんとドアノブを引っ張りドアを閉めたという映像が残っているため、その考えを頭から振り払う。 でも鍵を閉めた記憶はない……。
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