一日目 -始まりの電話-

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「真希っ、帰ったの? 真希?」 …………。 やはり返事はない。 恐る恐る、廊下に通じるドアを開いてリビングを出た。 廊下は直線通路になっており、ここからでも玄関の状態が伺える。見た感じ玄関のドアにおかしなところは見当たらない。 そのまま近づき、靴を確認してみるが、そこには真琴の靴が一足。それと数枚の落ち葉があるだけ。 落ち葉は真琴が帰って来た時、風の勢いで一緒に入ってきたと考えるのが自然なはず。 現に、今もなお玄関のドアから隙間風がぴゅうぴゅうと鳴っているのがわかる。 玄関側から見て、この直線通路の廊下の左半分は、二階へと続く階段となっており、玄関を上がってすぐ二階へと行くことができる。 真琴は、振り返ってその階段の奥へと視線を送った。 夕方という時刻に、悪天候な所為もあって階段の上はすでに薄暗くなっている。 物の輪郭が見えないほどではないが、ぼやけた感じで色彩も黒一色に染まろうしているようで、ここからでは判断しづらい。
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