一日目 -始まりの電話-

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軽く息を呑み込んで階段を上がろうとすると――。 コツン……。 と背後から音が聞こえた。 心臓が破裂しそうなほどに驚き振り返る。 コツン……。 玄関のドアの向こう側――外からドアを叩く音。 誰かいるのだろうか。 そう思うが、ドアを叩く音があまりにも控え目すぎる気がする。 コツン……。 音がドアの下の方から聞こえた。 ノック音というより、何かがぶつかる感じ。 それがわかると、少しずつ真琴の中で心当たりが浮かんできた。 意を決してドアを開けてみると、そこには飾っていたはずの小さい植木鉢が風にかき回されながら転がっていた。 これ、か。 なんだか急に肩の力が抜けたみたいだ。 まったく。 風にされるがままになっている植木鉢を拾い上げる。 やはり外に飾るには少し軽すぎるみたいだ。この間も学校から帰って来た時に倒れているのを見かけた。
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