一日目 -始まりの電話-

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いったい誰なんだろう? そんなことを考えるが、当然、考えた程度でわかるはずもなく、真琴はじっと液晶ディスプレイを見つめる。 なんだろう、この感じ。 なぜだか酷く懐かしい。 別にこの番号を以前にも見たことがあるとか、同じような状況が前にもあってデジャヴュを視てるとか、そういうことじゃない。 ただ漠然と、この電話に繋がってる先が懐かしく感じられる。 なぜ、なんてわからない。 むしろこっちが聞きたい。 この感覚はなに、と。 懐かしいという感情が湧き出る反面、番号が番号だけに、頭の方の理性が出ちゃだめだと私を言い留める。 こんなあからさまに怪しい番号、普段だったら無視するに決まってる。 それでも、このどこか懐かしいという感情が、出てはだめという理性を抑えつける。 電子音が玄関内に鳴り響き、背後の玄関ドアからは隙間風がぴゅうぴゅうと不規則に吹く。
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