気付き始めた彼女。

2/2
前へ
/8ページ
次へ
「ねぇ」 ある日の真夜中。 寝てると思っていた彼女が、急に話しかけてきた。 「なんでいつも、寝ている私の後頭部にキスするわけ?」 どうやら彼女が寝たふりをしていたのは、今日だけじゃないらしい。 声の様子からして、何かを覚悟しているような、そんな感じがした。 「別に深い意味なんかないよ。実は癖なんだ、僕の」 「…………」 数秒沈黙。 「ねぇ」 また数秒、時計の針が動く音だけが部屋に響く。 「もしも私が人じゃなかったら、嫌いになる?」 「いや、絶対にならない」 今度は沈黙なんてなかった。 僕は即答して、彼女は「あっ、そう」と呟き寝てしまった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加