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「ねぇ」
ある日の真夜中。
寝てると思っていた彼女が、急に話しかけてきた。
「なんでいつも、寝ている私の後頭部にキスするわけ?」
どうやら彼女が寝たふりをしていたのは、今日だけじゃないらしい。
声の様子からして、何かを覚悟しているような、そんな感じがした。
「別に深い意味なんかないよ。実は癖なんだ、僕の」
「…………」
数秒沈黙。
「ねぇ」
また数秒、時計の針が動く音だけが部屋に響く。
「もしも私が人じゃなかったら、嫌いになる?」
「いや、絶対にならない」
今度は沈黙なんてなかった。
僕は即答して、彼女は「あっ、そう」と呟き寝てしまった。
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